第19章 みかん
ー研磨sideー
そろそろ穂波帰ってるかな、と思いながら
翔陽たちと食器返しに行ったけどまだいなかった。
荷物を置いてる教室に向かって歩く。
男子は二階。
女子、というかマネージャーは三階で寝る。
「じゃあ、準備終わったらそっち行くからな!」
翔陽が烏野の部屋に入ってく。
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銭湯には思ったより部員がいなくて
わりとゆっくりできた。
…とはいえ、銭湯にはしゃぐ犬岡と翔陽に付き合ってはいられない。
「えっ、研磨もうあがんの?」
「のぼせる…」
脱衣所でぼーっとしてると、
烏野の他の部員が揃って入ってきた。
「え、じゃあノヤさんにいきなり話しかけてきたってこと?」
「おーそうなんだよ! …あれは、自己紹介するためだったのか?」
「つーか、あれマジで旭が泣かせたんじゃねぇのかー?」
「旭さん何したんスか!?」
「いやぁ、曲がり角で思い切りぶつかっちゃって…」
「えぇっ それで泣いちゃったんスか?」
「でも、痛くて泣くような感じはあんましない子だけどな…」
「大丈夫です、別件ですっていってたもんなぁ」
「別件ってなんスか!痴情のもつれっってやつっスか?」
「なんでそうなるんだよ」
「あっ、…俺らが荷物取りに戻るちょっと前に
穂波ちゃん、学校の門のところで男の人と話してたよね、ねー、ツッキー?」
「…そうだね。 …泣いてるようには見えなかったけど」
…何この賑やかな人たち。
今の会話、ずっと穂波の話してたの?
「おわぁー、あっちーーーー 翔陽すげーなー! あ、研磨さん!すみません!お待たせしてますっ」
犬岡が上がってくる。
翔陽は多分、まだはいってるんだろ…
「いいよ、別に待ってないし。 帰りたかったら帰るし」
…寝る前に穂波に会えるかな。
かわいいとこみれるのも嬉しいし、
穂波のご飯食べれるのも嬉しいけど、
触れるとこにいるのに触れないこの感じはつのってくな…