第19章 みかん
ー月島sideー
どこに銭湯があるのかはわからないけど
誰かに会うだろうと用意をして玄関に向かってると
3年生に遭遇したので声をかけるとあの人がいた。
「あ。」
僕の声に反応してこちらを見て目があった。
よく見ると目元が赤くて、
瞳は潤んでて…
「え。」
泣いたの?
さっき笑ってるように見えたけど泣いてたの?
でも今はかわいいい顔して笑ってる。
…かわいい顔して?
あぁ、僕ちょっとおかしい。
夜中の移動のバスで寝て、そのまま練習したからだ絶対。
澤村さんがまとめて部員を紹介し始めて、
その度に小さく復唱してた。
『月島くん』
落ち着いた声でうるさくない。
…わざわざ復唱してたけど、明日も覚えてるのかな。
…まぁ、別にどうでもいいけど。
僕には関係ない。