第19章 みかん
『よし!泣き止んだ!…顔大丈夫?』
「はは!大丈夫ではないけど、大丈夫!うるっとしててかわいい!襲われないように!」
ツトムくんが頭をポンポンしてくれる。
『襲う人なんていないから!笑 健全な場ですから!』
「もー穂波ちゃんは色気むんむんのくせに、そういうとこ危ないんだよ〜」
『いやいや、ないない。襲う、はここではない。笑』
「…じゃあ、俺も時間あるしいくわ。研磨くんの元へとまっすぐ帰りなさいよ」
『…うん!』
「研磨くんどこにいるかわかってるの?探し回るんじゃなくてメールするんだよ」
『うん。でもまず、わたしも仕事。 調理室にまっすぐ向かうね。ありがとう、ツトムくん』
ツトムくんは研磨くんと出会ってから
どんどんお兄ちゃんぽくなってるなぁ、と思う。
安心する。
…よし、切り替えてマネージャー業務に戻ろう。
校舎に入って調理室へと向かう。
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どがっ
薄暗い廊下をすたすたとライトもつけずに歩いてたからか、
曲がり角で何か… 誰かにぶつかった。
「わぁぁぁぁ!ごめん!大丈夫?」
『ごめんなさいっ!』
若干跳ね返って飛ばされたわたしへ、
気遣いの言葉をくれたその人の顔を見上げると、
仁花ちゃんがフリーズしてしまった時にお皿を返しにきた、茶色い髪の髭を生やした人。
穏やかそうな、山みたいな人。
「あれっ えぇっ うわっ 大丈夫?」
『いや、本当、大丈夫です!ぼけっとしてて、ごめんなさい… そちらこそ大丈夫でしたか?』
「えー、いやぁ 俺は、大丈夫なんだけど…」
「…おい旭、何してんだ …すみません、こいつがって……おい、旭!」
「おい旭〜 って、えっ!? 目、赤いべ? 大丈夫? 旭が泣かせちゃった?」
『あ、これは、別件で。 泣いてないです!笑』
なんだか和む3人だなぁ…