第19章 みかん
18:10
音駒の部員、猫又監督、直井さん、
それからかおりさんに声をかけて体育館をでる。
着替えの入った鞄を持って走り出す
…すこし遅くなった。
早めにスタジオに入るようにしてるんだけど、今日はぎりぎりだ。
正門に向かって走ってると、
向こうから走ってくる2つの影。
奥には軽トラックとそのそばに女性らしいシルエット。
近付くにつれて逆光でわからなかった服の色や髪の色が見えてくる。
黒いTシャツにグレーのハーフパンツ。
Tシャツにはでかでかとセッター魂って書いてある… 研磨くんと同じポジションだ…
それから白いTシャツに緑のハーフパンツ。
髪の毛は、 …みかん色。
夕陽と逆光でほんとに近くにくるまでわからなかった。
『…翔陽くん』
すれ違いざまに思わず呟いてしまう
はっとして振り返ると
みかん色の髪をした彼もこちらを振り返って見てる。
声をかけたい。
でもわたしも、きっと彼らもいそいでる。
今は、前を向いて走らなきゃ。
軽トラのそばに立っている
かっこいいお姉さんに会釈をしてスタジオへと急ぐ。