第19章 みかん
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たくさん炊いたご飯も綺麗になくなり
おかずもきれいさっぱりとなくなった。
「すげー旨かったっす!ごちそうさまです!」
などと言って食器を置いて行ってくれるので
わたしの顔は終始綻びっぱなしだ。
谷地「運天さんは、料理が好きなんですね」
『…ん? …うん、まぁ、好きかな。 食べるのも、食べてもらうのも。
…もはや好きを通り過ぎて癖みたいになってるかも………笑』
谷地「…癖とは?」
『…性癖みたいな?笑 そういう意味の癖』
谷地「…しぇっ しぇっ しぇいへき………」
仁花ちゃんが白目を向いて顔を真っ赤にしてフリーズしてしまった
『あ、ごめん、変な言葉つかっちゃったっ』
「ご馳走様でした。旨かったっス」
真っ直ぐに立って目を見ながらそう声をかけてくれたのは
烏野高校のジャージを着た人
『はい、食器ありがとうございます』
あぁ、顔が、顔が綻ぶ。目の皮たるむ。
「やっちゃん、大丈夫か?」
「いやー旨かったべー …あら、やっちゃんどうした?」
「固まってるなぁ……」
他にも2人の烏野ジャージの人が来て仁花ちゃんの様子を気にかけてる。
最初にいた人は、黒い髪の父性溢れるひと。
次に声をかけてたのが灰色の髪の泣き黒子が色っぽいひと。
最後にそっときたのは、がたいのいい、でもやわらかな空気を纏ったひと。
谷地「しぇっ… しぇいへき………」
「…しぇいへき?」
「シェイクじゃね?」
谷地「…ぬはぁっ 澤村さん、菅原さん、東峰さんっ ぬわぁー!運天さんっ
すっすみませんっ 手が止まっておりましたっ」
『あはは、かわいい。気にしないで。 …そんなことよりさ……』
烏野ジャージの3人は
動いた動いた、と言いながら去って行く。
谷地「なんでしょうか?」
『穂波でいいよ。ちゃん、とか?言いにくかったらさんでも』
谷地「…なんと」
『…部活ってそういうのダメなのかな?』
谷地「私なんぞが名前でお呼びしてもいいのでしょうかっ」
『私なんぞって、そんな言い方しないの。…うん、名前で呼んでもらえると嬉しいな』
谷地「…では、穂波しゃんと呼ばせていただきます」
『…しゃん 笑』