第19章 みかん
しばらく体育館でマネ業務をさせてもらった。
スコアを書くのを任された。
クロさんが事前にノートを見せて説明してくれていたので
それを思い出したり、前のページを見たりしながら書いていく。
犬岡くんに度々質問をしながら…
これじゃ犬岡くんがスコア取った方が…って思いがよぎるけど
卑屈になってもしょうがない。
それに今聞かないで、いつ聞くの。
今聞いておいて、だんだん、質問の数が減ったり内容が変わっていくんだ…
任せてくれたんだもの。任されたことをちゃんとしよう。
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犬岡くんにノートを預け
昼食の準備に調理室に来た
仁花ちゃんと、雪絵さんと3人。
あとから、真子さんと英里さんが来てくれるそう
…練習とは全然違う勢いで動いていく流れにどきどきしたな。
そんなことを思いながら、どんどん手も足も頭も動かして進めてく。
おじいちゃんの家の近くであるサーフィン合宿とかそういうの
お兄ちゃんがいた頃はついて行ってお勝手を手伝ったりしたけど
ちょっと、量が違う。
周平のお父さんの知り合いでうちの家族とも仲の良いお店が
野外フェスとかでケータリング出すときも仕込みから手伝ったりしたけど
それとも全然違う。
…そんな考え事が過ぎると頭を振って今に集中してく。
限られた人数、限られた時間、
腹ぺこの部員。
お昼だしメニュー数は減らして…
放ったからしにできるオーブンをうまく使って…
麻婆なす、春雨サラダ、鮭の中華野菜餡掛け、エビチリ、
豆腐とわかめの卵スープ、オレンジ
谷地「…運天さん、本当にすごいです…オーブンで鮭や海老を揚げ焼きにするとは……!」
終わりが見えてきたところで仁花ちゃんが言う。
…かわいいなぁ、人の良いところを見つけてくれる子なんだろうなぁ。
『あはは、大袈裟。笑 こんなのは慣れとあとわたしに関してはずぼらさだよ。笑
せっかくガスオーブンがこんなに設置されてるんだもん、使わない手はないでしょう?笑』
雪絵「あーん、穂波ちゃん麻婆茄子の素とか使わないんだねぇ。 美味しすぎるぅ〜」
谷地「なぬっ そうか…それもそういえば…」
前持って調味料を混ぜてしまえば、味だって決まりやすい。
大したことじゃない。