第19章 みかん
「おねがいしやーっす!」
「おはようございあーっす!」
森然と生川が続けて到着したようだ。
…そろそろアップもとらなきゃいけない。
いま、まず、対応すべきは………木兎さんだ。
「穂波ちゃん、俺も驚いてる。
今は時間がないから、後で時を見てゆっくり話そう。
…穂波ちゃんは木兎さんとも知り合い?」
『うん、光太郎くんとはお友達?かな。
光太郎くんは梟谷ってことも、バレー部ってことも知ってたんだけど…』
「…もし、もし俺にしたみたいな再会の挨拶を木兎さんにしていないのであれば、
是非、その… 再会早々大変申し訳ない頼みになるんだけど…」
『…?』
「穂波ちゃん!俺には!? 俺にもハグして〜!!!」
あぁ、良かった。
木兎さん、ちゃんと自分で言えましたね…
『あー!光太郎くん!そだね、あ、再会の挨拶! …うん、そだね!』
穂波ちゃんが木兎さんの広げた腕の中に飛び込んでいく。
木兎さんは力強く抱きしめた。
しばらくそのままでいた後、
身体が離れるや否や
『へいへいへーーーーい!』
穂波ちゃんは楽しそうに声を上げる。
研磨「…ふ 笑」
木兎「へいへいへーーーーい!!今日も目指せノーペナルティー!」
木兎さんは通常運転よりやや調子が良くなったようにみえるし、
あの孤爪が笑った気がしたんだが… 気のせいだろうか。
とにかく今は、バレーに集中。
穂波ちゃんとは夜にでも、ゆっくり話せるといい。