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【ハイキュー】   “波長”   【孤爪研磨】

第19章 みかん


ー赤葦sideー




木兎さんのサポーターを一通り探して体育館に戻ると、
あれほどないないと騒いでいた木兎さんはウェアの下にちゃんとサポーターを履いている。





「あ、木兎さん、サポーター見つかったんですね」





そう声をかけると、
音駒のマネ代理という子だろう、
その子がこちらを振り向いた。

話を遮ってしまったかな…






「え」
『わ』







…………





…これは、どういうことだ。
穂波ちゃんは音駒生だったのか…

いや待てよ、ということは木兎さんがしきりに言っていた
穂波ちゃんとはこの穂波ちゃんのことなのか…?

それはつまり…





『京治くん!』






穂波ちゃんは明るい笑顔で俺の名を呼ぶやいなや
俺に抱きついてきた。
こんな経験はないので、体が動かない。
いやこれが他の場であったならば、抱きしめ返したかもしれない。

剥がすこともできず、
されるがままに抱きしめられる。

…随分強くそして、長く感じる。

心地は、正直全然悪くない。
柔らかいし、あたたかいし、いい匂いがする。






…はっ

木兎さん。木兎さんがまずいんじゃないかこれは。
穂波ちゃんは木兎さんにも同じように抱きついたのだろうか。
そうであればさして問題はないが、そうでなかった場合…




「………穂波ちゃ… あ、いえ、木兎さん…」





木兎さんは前のめり、
腕をぶらんと下に下げた状態で首を傾げてぽかーんととしている。





…これは、まずい。
まさかの試合前から不調の波が来てしまう…







穂波ちゃんは身体を離し、
腕を掴みながら俺を見上げて言う






『京治くん、すごいね、会っちゃったね!
どういうこと?ねぇ、これってどういうこと?』







…これって、どういうことだろうか。










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