第19章 みかん
ー研磨sideー
梟谷が最初に到着した。
「あっれぇー?穂波ちゃんはぁ?」
「なぁ、音駒のマネ代理って穂波ちゃんだろ〜?」
そぉーーーっと木兎さんの視界から消えるようにしながらやり過ごす。
そうこうしてるうちに、
梟谷のマネ達と穂波が体育館に戻ってきて、
予想を裏切らない声で木兎さんは駆けつけて、
穂波は笑顔で反応して、ぺこりとお辞儀してた。
…あー、かわいい。
…まぁ、ここまではおれも、クロも、想定内。
穂波の後ろから赤葦が木兎さんに話しかけながら体育館に入ってきたかと思うと、
振り返って赤葦をみた穂波は勢いよく赤葦に抱きついた。
赤葦は、困惑といった様子で
腕もなにも動かさず停止。
しばらく強く抱きついたままの穂波。
首を傾げて固まる木兎さんの後ろ姿。
唖然とするクロ達。
…なにこれどういうこと。
え、もしかして丸の内で会った本好きのやつって…
穂波が赤葦から身体を話したかと思うと、
興奮した様子の大きな声が聞こえてくる
『京治くん、すごいね、会っちゃったね!
どういうこと?ねぇ、これってどういうこと?』
…それ、穂波以上に
周りのみんなが思ってるはず。
ねぇ、これってどういうこと?
大きな声で答えるとは思えない赤葦の返事を聞くために、
おれ含め、音駒のみんなは静かに近づいて行く