第5章 夏
前の彼氏は、ニュージーランドからハワイに留学してて
学生だったけどプロのスケーターで、サーフィンもすごく上手かった。
まぁ、誰の目にもアクティブな人って映るだろう感じの人。
『うん、まぁそうだね。
でも雰囲気が似てるからって好きになるわけじゃないし、
むしろ匂いみたいな感じじゃない?
なんか、すごく惹かれたんだよ、初めてみたときから。
あまり私たちの周りにはいなかった感じなんだけど、
研磨くんは研磨くんの感じでいつも力が抜けてて素敵なの』
「ふーん。まぁ、そうだな。タイプだから好きになるとか、そういうんじゃないよな。
合うものは合う、それだけ」
お兄ちゃんとはなんでも話せる。
全くのど一致ってわけじゃないけど、価値観とか感覚が似てるし、
趣味も一緒にできることが多いから、
離れてるけど話すことも多いし、会うと普通にこうやって遊ぶ。
「てか、もう高校ってことは小遣いは、、、」
『うん、ちゃんとお兄ちゃんの時と一緒。』
中学生までは、こういう風に旅行に行くときのお小遣いは親が渡してくれていたけど、
高校になったら働けるのだから、とお土産代とかは自分で貯めて持っていくのが両親のやり方。
交通費や食費は出してもらえる。
とはいえ4月に入学して7月の旅行じゃ高校生に貯めれる額なんてたかが知れてるから、
去年の2月、15歳の誕生日を迎えてからその貯金はすこしずつ始まった。
両親のお店のお留守番をしたり、
父親の撮影に同行したり、
両親の友人のイベントの手伝いとかをしてお小遣いを貯めたのだ。
「足りてる?兄ちゃんから小遣いをやろうか」
『お兄ちゃんからのお小遣いはこうやってご飯ご馳走になったり、
あ、じゃあ今度マーケットで服買ってもらうんでいいよ♪笑』
「…素直でよろしい」
『…レッスンする側に挑戦しようかなとか思ってる』
「フラ?」
『うん。ヨガとか他のジャンルもまたトライしてみたくなってて。
レッスンも増やしたいし、教えてもみたいし、海入りたいし、研磨くんとゆっくりしたいし…
欲が止まらない。笑』
「いいじゃん。まだお前15だよ?
自分の心地良いもんちゃんとわかってるし、
もともとのゆったりしたペース保ったまま、できると思うけどなぁ、お前なら」
『うん。お兄ちゃん〜』