第19章 みかん
ー木兎sideー
1週間前、
音駒にもマネの仕事をしてくれる子がいるけど、
マネージャーというわけではないらしいという情報を雀田から聞いた。
これはきっと!!!
穂波ちゃんに違いない!
他の子に頼むとは思えないし、
もし他の子ならそれはマネージャーなはずだ!
そう思って1週間うはうはで過ごした。
音駒に到着し荷物をおろして、
いろいろやってるとサポーターが見当たらない。
あっれぇ〜?
さっき着替え出すときに出したはずなんだけどなぁ〜 おっかしいなぁ〜
赤葦は荷物のある方に探しにいってくれたんだけど、
あれまふつーにタオルに包まれて隠れたっつーわけで、
倉庫みたいなとこで、ジャージのままだった下も履き替えて 準備万端!
そんなところに雀田と白福が穂波ちゃんを連れて体育館にやってきた。
「ぉあっはーーーーー! 穂波ちゃーーーん!!!」
穂波ちゃんはこちらに気付くと
俺にとびきりの笑顔を向けてくれる。
それから真っ直ぐに立って、
『光太郎くん! 久しぶりだね』
なーんて、感動の再会をしていたはずなのに。
もうちょっと、浸るはずだったのに。
穂波ちゃんは後ろから戻ってきた赤葦の顔を見るや
『京治くん!』
っつって思いっきり抱きついた。
ええぇぇぇぇぇー なんでーーーーー???
俺にはハグなかったけど
なんで赤葦にはあるのぉ?
なんで赤葦のこと知ってんのぉ?
…俺、握手しかしたことないのに
…俺にはハグなかったのに
『京治くん、すごいね、会っちゃったね!
どういうこと?ねぇ、これってどういうこと?』
ねぇ、これってどういうこと?
俺が聞きたい!