第18章 くしゃみ
ー穂波sideー
7月2日(月)
7月に入った。
今週末は烏野高校を迎えての合同練習。
今日は雨が降ってるので、教室でお弁当。
研磨くんは鼻と額にすり傷を作っている。
『雨きれい』
「雨きれい?」
『うん、あじさいもほら、綺麗』
「…ん。 だね」
『土曜日、リエーフくんの初試合どうだった?』
「…まぁ、ぼちぼち」
『お』
全然、ダメ って答えもあり得ると思ってた。
「全然、ダメだけど。 …でも、まぁ、慣れてきた」
『へぇ、すごい。 何かあった?』
「…別に、何があったわけでもないんだけど… リエーフに肩車された」
『へ!? えぇ…、見たい』
「なんでそうなるの」
『…………』
「それで、バランス崩してそのまま地面にバーンってなった」
『…あ、それで顔に傷があるんだね。 大丈夫? 2人とも傷で済んだ?』
「…ん」
『なんで肩車されたの?」
「…猫が、木の上にいて」
『…ほぉ』
「リエーフがジャンプして捕まえようとして引っ掻かれて」
『うん』
「肩車された」
『猫は研磨くんのとこに来た?』
「…いいや、怯えて来なかった」
『………』
「そしたら突風が吹いて気が揺れて猫が落ちたんだけど
おれ、手伸ばしても届かなくて。
あー届かなかった。って思ったらリエーフが捕まえてた」
『わぁ。2人ともがんばったね』
「それで猫が暴れて、リエーフがよろよろして…」
『なるへそ。教えてくれてありがとう。痛かったね』
「うん。 …穂波は? 発表会、苦手って」
『あぁ、うん。ホールとかである発表会は相変わらず苦手だった。
発表自体は、集中して、気持ちを込めて踊れたよ』
「………」
『…でも、そのあと片付けとか挨拶済んだらすぐ会場出た』
「…ん。お疲れさま」
『…ふふ、ありがとう。研磨くんもね。 …あ、それでね、面白い出会いがあったの』
「…ん?」
『丸の内のさ………』
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