第18章 くしゃみ
「…あの、お茶でもしませんか?」
横を通り過ぎたときに、そう、声をかけられた。
『…え?』
「あっ、すみません。決してやましい気持ちがあるわけではないのですが…
おっしゃっていた一期一会という言葉を考えだすと、つい…」
『…ちょうど、併設されているカフェに入りたいと思ってました。
そちらで良ければ、是非、ご一緒しましょ』
「…ありがとうございます」
『…ふふ お礼を言われるようなことは…笑』
この人、まっすぐだし真面目そうだけど、
なんかちょっと抜けてるというか
突き抜けてるというか…そんな感じがあって面白い。
ストイックの極み?
「申し遅れました。赤葦京治と申します。学生なので、名刺などないのですが…」
『ふふ。 運天穂波です。同じく学生なので名刺などはもっていません。笑』
「あ、学生さんなんですね」
『えぇっ』
日本ではわりと年相応に見られるから、
無駄に驚いてしまう。
「てっきり、外資系のオフィスにお勤めの方かと…」
『あはは! あっ、声抑えなきゃ… …残念でした。多分赤葦さんより年下です。
年上のお姉さんがよかったかな?笑』
「いえ、歳は関係ありません。 運天さんに惹かれて声をかけました」
『…………』
この人一体なんなんだろう。
じわじわとひっそりと静かに、
エキセントリックな匂いがぷんぷんする。
でもいやじゃない。
妙に、色っぽいのも確か。
「あっ失礼しました… 今のは忘れてください。 俺は16歳ですけど、俺より年下ですか?」
『えぇっ 大学生かと思ってた。 わたしも16だよ。 同い年かぁ!』
「あ、そうなんですね。とりあえず、本の会計を済ませてカフェに移動しましょうか」
『うん、そうだね。 …ごめん、わたし別に年齢に合わせて言葉使い分けてるわけじゃないんだけど、
なんかいきなり敬語使えなくなっちゃった。 いや?』
「いえ、そんなことはないです」
『…ふふ、ならよかった』