第18章 くしゃみ
「…何だった? …直井さん」
みんなでばらばらと、でも一緒に帰り道を歩いている。
『…7月の梟谷グループとの合同練習、来れないかって』
「あぁ」
『行きたいなって思ってる。いいかな?』
「…え、あぁ、うん。 でも、レッスンは?」
『まだ1ヶ月あるし、生徒さんとスタジオと相談して、
合宿のマネージャー業務が落ち着いた時間にレッスンを調整するか、
他の日に振り返るかする』
「…そっか。うん、じゃあよろしく」
『うん! 翔陽くんも来るね。 わーい』
「…うん、そうだね」
『よく跳ぶみかん色の翔陽くん』
「…ふ 笑 あー、母さんにご飯食べてくるっていえばよかった」
『…ん?』
「全然、穂波ん家行けてない。穂波が足りない」
『………///』
「………」
『あ、お兄ちゃん帰ってくる日決まったよ』
「今、インドネシアだっけ」
『うん。もう終わって、次南アフリカなんだけど、その前に1週間くらい帰ってくるって』
「いつ?」
『日曜だよ』
「お。すぐだ」
『だから、研磨くんの具合で、夕飯だけでも一緒できたら。
大会期間中だし、ほんと、いい塩梅で』
「うん。アキくんも休みってわけじゃないんでしょ」
『そだね、撮影とか打ち合わせとかなんかいろいろあるみたいね』
「…じゃあ、アキくんがいるとき、行けたらいく」
『うん』
わたしが足りないだなんて…
まるで、
お腹が空いたとか、眠たい、みたいな感じで言うんだから。
ずるい。
研磨くんはずるい。