第5章 夏
「ありゃ、研磨くん、寝てる!
おぉ!?…浜辺でエッチな女の子が寝ている!寝顔は見えねーけども!」
「…Skypeでもしてたんですかね」
「すかいぷ?」
「テレビ電話みたいな」
「うぉぉ!すげぇ、おれテレビ電話はじめてする」
「…いや木兎さん。木兎さんはしないですよ…」
赤葦の指摘も虚しく、木兎は研磨のiPhoneに近付く。
「おーい!そこの浜辺で座ったまま寝ている女の子ー!おーい!起きろーーーー!」
「………」
「………」
「穂波ー!お前寝てんのー?」
画面の向こう側から男の声がする。
「………?」
「なになに?え、なにこれSkype?オンラインのまま寝てんじゃん。笑」
ひょいっと画面に顔をみせたのは、
目鼻立ちの整った、さわやかな男の顔。
海から上がってきたのだと一眼で分かる水の滴り具合。
「どーもー!なんかごめん、穂波寝ちゃってんね。
てか、そっちどういう状況?なんでそんなに人いんの」
「………」
・
・
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ー穂波sideー
「おい、穂波起きろよっ」
お兄ちゃんの声で目が覚めた。
…あ、Skype。
『…ん?』
iPadの画面をみると、映ってるのは研磨くんの他に4人いた。
知らない人が2人。
そのうちのグレーの髪の毛の人が、一番大きく写ってる。
「穂波なに向こうの状況?俺理解不能」
『…ん。お兄ちゃん、あ、もう終わり?』
「おー朝メシ食いに行こ。…って、そうじゃねぇだろ。
俺、着替えてくるからよくわかんねぇけど寝てたこと謝っとけー」
『…ん、オケ』
浜辺で寝てしまってたものだからすごく喉が渇いた。
水筒の水を飲んで画面の方を向く
『…おはようございます。あ、クロさん夜久さん。
研磨くん、まだ寝てる?」