第17章 GW
ー穂波sideー
そろそろ電話を切るかなぁという感じだったので、
最後に、もうほぼほぼまん丸の綺麗な月を一緒に見たいなって思って、
月が見えるかな?って聞いてみた。
「…月が綺麗ですね」
『………』
え、これって知ってて言ってるのかなぁ。
ほんとに月、綺麗だしただそういう意味かな。
でも、敬語でいうかなぁ…
どちらだとしても答えは一つだ。
『…えぇ、そうですね………』
「…ん」
言った後、研磨くん大好き。と付け加えたくなるけど、
なんだかせっかくの風情が台無しになる感じがするし、
もしかしたら重複したことなのかもだし。
その言葉は飲み込んだ。
『…明日、烏野戦楽しんでね。』
「…ん。穂波も明日、楽しんで」
『うん。ありがとう。じゃあ、また月曜にね』
「…ん。おやすみ、穂波」
『うん、おやすみ』
………。
月が綺麗ですね、って
夏目漱石のそれだとしたら。
実際にこう、
使用してみるとなんだかこれは…
エモいってやつだ。
いつもストレートに好き好き言っちゃうし
研磨くんも飾らず、その一言を口から溢すように言ってくれる。
それがたまらなく好きだけど…
さっきの電話。
逢いたいなぁっておもってるとこでの、
月が綺麗ですね。は、
なんとも。 きゅうううん。