第17章 GW
──遊児と散歩した日
その日の夜は月が半分以上の大きさはあるのに
星がよく見えてとても綺麗だった。
「穂波、手繋ぐべ。夜道だしな。鹿とか猪とかもいるし」
『…ん』
従兄弟だし仲も良かったから、
小さい頃からたくさん手を繋いできた。
散歩の時ももちろんだけど、
遊児とは山に行ったり、川で遊んだり、岩や木を登ったり…
とかくそういう、
なんというかワイルドな遊びが多いから
自ずと手を差し出されて、その場だけで手を解くこともあれば、
なんとなくそのまま繋いで歩いたりとか…
そういうのが普通で。
でも、こういうなんでもないとこで手を繋ごうと言われると
少しもじもじしてしまう。
「なに穂波、俺に照れてんの?かわいいじゃーん」
『…だっ 照れてるけども… もーそういうこと言わないで!』
「………んな、俺も照れるべや」
『…手、繋ぐのはやめよか』
「んな!従兄弟の特権取られたら俺泣く」
『あはは!泣かないで。 手、繋ご』
手を繋いでみると、
やっぱり重ねてきた歳月ってものがあるから
照れもなく普通に歩ける。
ふと研磨くんとの会話を思い出した。
『ねぇ、わたしたちってどんな喧嘩したかな?』
「…喧嘩?なにがあったかな〜」
『どっちかが怒っててどっちかは怒ってないのも喧嘩なのかな?』
「あー、どうなんだろうな? 穂波を怒らせて俺が謝るって図しか思い出せん」
『それはさ、喧嘩?』
「…んー、喧嘩とは違うんじゃねーの。 なに研磨と喧嘩した?」
『ううん、喧嘩したことある?って聞かれて。どうだったかな〜って』
「研磨とは喧嘩したことあんの?」
『うーん、まだしたことないと思う。 研磨くんをイライラさせちゃって、ごめんねってなることはあった』
「…俺穂波にイライラなんてしたことないべ」
『…ふふ。 …わたしたまにさ、なにも考えずに動いちゃったりすることがあるから。
遊児といるとわりとしっかりできてると思うんだけど…』
「…俺らはナイスカップルだからな!」