第17章 GW
ー穂波sideー
おばあちゃんの家に来て2回研磨くんと電話をした。
1回目は研磨くんがまだ東京にいるとき。
毎日朝から夕方までリエーフはうるさい、と言ってた。
2回目は昨日。
宮城に着いた日に、烏野高校バレー部の一年生に遭遇したらしい。
どんな子だとか何を話したかとかは言わなかったけど、
おもしろい感じがしたから
最終日の烏野との試合を“ちょっと楽しみ”って言ってた。
カズくんに聞かれた時とか、
練習試合がある前とか、
普通にバレーの話になった時とか…
一度も研磨くんがバレーを楽しいとか楽しみと言ったのを聞いたことがなかったので、
むはぁぁぁっとなってしまった。
クロさんもずっと前だけど言ってた。
夏に、電車の中で、
研磨くんが寝ちゃったとき。
クロさんと初めて、2人でちゃんとした?話をしたとき。
猫又先生や烏野高校の話もその時聞いたんだ。
「でもまぁあいつ、そんな楽しそうにはバレーやらないからさ。
そこに楽しいとか、気持ちいいとか、終わらせたくないとか
そういう感情?感覚?が伴ったら、もっとすげーと思うのよね」
ずっと研磨くんとバレーをしてきたクロさんがそう言ってたんだ。
楽しみって気持ちがちょっと生まれ始めた研磨くんはどんな風なんだろう。
…観てみたい。
明日、烏野運動公園でって言ってた。
…でも、ホームでの練習試合じゃないのにわたしみたいな部外者が行くって、
わたしにはそんな勇気はない
というかそもそも、わたしも明日の夕方に帰るわけだし。
そうだ。
今日は遊児のお姉ちゃんが泊まりに来てるし
明日、遊児の練習観に行ってみようかな。
部活漬けで一緒に遊べないから、練習観にきてよって遊児言ってたし。
…まぁ部活終わりに夕飯食べに来た時は、
帰るまでいっぱい一緒に遊んだんだけども。
サーフィンとか山とかスケボーとか、そういうことはできなかった。
夜の散歩は行ったけど。