第5章 夏
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長かった合宿も今日で終わる。
穂波とは食堂で話した次の日の夜、一度電話ができた。
その頃向こうは夕方で、海で見れる夕焼けを映して見せてくれた。
午前中にワンセットのゲームをひたすらやって、
昼飯を食べて解散。
最終日の昼飯は毎年バーベキューが恒例らしい。
おれはみんなみたいには食べないから、
裏山の端っこの方の日陰に座ってゲームをしてたら
穂波から呼び出しの画面が出た。
向こうは朝だよね。
「………おはよう、穂波」
『…研磨くん、おはよう。あ、外にいるの?』
「…うん、最終日はバーベキューなんだって」
『あ、そうなんだ。今大丈夫?またかけ直そっか』
「ううん、もう食べた。…みんなみたいには量いらない」
『…ふふ。ほんとに?大丈夫?』
「…うん。穂波の顔見てたい」
穂波はまえにおれの家に来たときに着ていたワンピースを着て、
やっぱり膝を抱えて座ってる。
前と違うのは、外にいるみたいだってこと。
あのワンピース、なんかすごく思い出深いや…
「…いま、外にいるの?」
『うん、お兄ちゃんと一緒に海に来たんだけど、
わたしはもう上がった。バテちゃった 笑』
「…そっか」
『研磨くん、合宿お疲れさま。すごいなーぁ1週間も』
「…うん、疲れた。…明日も午後から…」
言葉にすると、溜まったものがどっときて、
芝生にうつ伏せに寝転がった。
頭の方に携帯を立てて通話は続ける。
ポツポツと話したり、
ぼんやりとしたりしているうちに、
だんだんまぶたが重たくなってきた。