第5章 夏
ー研磨sideー
体育館から食堂に行って
トレーを持って列に並んでると
ヴッヴッ
携帯がなった。
トレーを片手で支えながら携帯を取り出すと、Skypeの着信。
(穂波だ…)
今日は合宿5日目。
なかなか時間が合わずに、今までメールだけのやりとりだった。
ボタンを押す。
画面が切り替わって、パッと穂波の姿が映る。
膝を抱えて椅子に座ってる。
アイボリーのリブタンクトップに生脚…ショートパンツでも履いてるんだろ。
…会いたいな
「…あ、ちょっと待ってね。」
トレーに食事を乗せ、人気のないとこを探して座る。
「…お待たせ。…いま昼ごはんの時間で。
ちょっと食べながらになるけど…」
『…うん、全然。気にせず食べて。顔がみれただけでうれし』
Skypeなんて初めてしたけど、
画面越しでも変わらない調子の穂波に安心する。
昼ごはんをつつきながら
いつものような会話をする。
しばらくしたところで
「研磨ー!何してんのー?」
夜久くんがやってきた。
夜久くんは穂波に挨拶をして、
おれの頭をぐりぐりしたりしてから向こうへ行った。
「…穂波、表情がちょっと違う。
なんか、…いつもよりもっと柔らくて強い感じ」
『…ほんと?ハワイ島パワーだね 笑』
「…ん」
『食べ終わった?』
「うん。あとちょっとで練習始まる…」
『合宿もあと少しだね。頑張ってね。
…話せて、研磨くんの姿見れて嬉しかった。ありがとう。』
「…ん。…おれも。
じゃあ、またね。…また」
『うん、またね。』
…練習だ。
トイレを済ませ体育館に向かう。