第16章 獅子
今日の昼休みは俺がもらっていいのかと聞いたら
研磨さんに会いたいっていう。
クラスでずっと一緒なのに、会いたくなるんだって。
じゃあ、会いに行けばいいって思う。
穂波ちゃんには笑っててほしい。
「俺、俺のせいでさっきみたいな困った顔させないようにします。
いっぱい笑わせます。俺のこともっと好きになる覚悟しといてください」
『…あ、はい。しかと承知しました』
それから穂波ちゃんは笑顔で俺のもとから去っていく。
遠くの方で一度、立ち止まって振り返り
大きな声で尋ねてくる。
『リエーフくん!リエーフってなんて意味〜?』
たしかに、出会えただけで運命なんだなと、
姉ちゃんの言葉を理解できた気がする。
風のような子だ。
かわいいだけじゃない、本当にに魅力的。
「獅子っす!獅子!かっこいいっしょー!」
『獅子!すっごいかっこいい!教えてくれてありがとう〜!またね、リエーフくん!』
そう言うとまた走り出し、後ろ姿も見えなくなった。
俺は多分フラれたんだと思うけど、
元気をいっぱいもらったし、
なんかすげー燃えてる。
話すだけで、顔見るだけで、
嬉しいし元気になるし、それに落ち着く。
出会ったときに感じた思いはやっぱ、間違ってない。
穂波ちゃんに出会えたことが運命でしょ!