第16章 獅子
ー研磨sideー
昼休みももう終わろうとしてる頃、
穂波が帰ってきた。
…走ってきたんだな、息が切れてる。
「…話せた?」
『…ハァ… …会いに来た』
「………」
『研磨くんに会いたくなった』
「…うん、知ってる。 …リエーフに話せた?」
『…なんかべらべらまとまりない事をいっぱい喋ったけど、リエーフくんがうまくまとめてくれた』
「…へぇ」
…リエーフがうまくまとめる
まぁ確かに、単純な言葉にまとめるというか、
言い換えそうな感じはする
『研磨くんのところへ行ってください、って 言ってくれた』
「へぇ」
『…だから会いに来た。』
うん、それ3回目。
「…ん」
『ねぇ、研磨くん』
「ん?」
『リエーフくんはなんだと思う?』
「…ん?」
『研磨くんが賢者なら、リエーフくんはなんだろう?』
「…あぁ」
その話か。
「…まだちょっとわかんないな。もうちょっと、データが必要。不可解なとこ多すぎるし」
『…そっか。 リエーフくんって真っ直ぐすぎて不可解なとこあるよね。
でもすごく鋭いものも持ち合わせてる。って思った』
「へぇ」
『またもうちょっとみんなのこと知ってから、聞くね。
犬岡くんとか芝山くんとか、えっと…』
「球彦」
『そう、球彦くん。 いい名前だなぁ。 たまひこ。 綺麗な名前』
「………」
『けんま たまひこ』
「………」
『けんま たまひこ』
「………」
『なんかすごく綺麗じゃない? 珠を磨くみたいなイメージ』
「…でも球彦は手白だよ。研磨は名字じゃない」
『 ? 』
「………」
『うん、研磨は研磨くんの名前。 2人の名前並べて言ってただけ。 綺麗な名前』
「………」
『研磨くん、大好き』
「…え」
『え?』
「いや、いつにも増して唐突だったから」
『…ふふ』
掃除の鐘が鳴る