第16章 獅子
ーリエーフsideー
「そんな風にもじもじされるとまた抱きしめたくなるし、唇奪いたくなります。
それをされたら穂波ちゃんはいやってこと?」
はっきり言ってと頼んだら、途端にもじもじし始めた。
穂波ちゃんは穏やかだし、落ち着いてるし、
嘘つかなそうだけど、言葉がたまにふわふわしてる。
それから、今日の朝、抱き上げた時もだけど、
もじもじしてるのはすごくかわいい。
『嫌じゃない。でもしたくない。 …これは曖昧ですか?』
『リエーフくんのことは好き。まだよく知らないけど、すごく、魅力的な人だと思う。
楽しいし、ドキドキもする。だから、嫌ですか?と聞かれたら、嫌ではないです』
はっきりしてるとも取れる気がするけど、
それじゃ俺からはしてもいいってことになるんじゃ?
そのあと穂波ちゃんは頑張ってどうにかはっきり答えようとしてたけど、
今一つパンチがない。
そんなんじゃ俺は、また手を出しちゃう。
キスどころじゃない、もっと先までしちゃうだろ。
だから自分からまた質問する。
「穂波ちゃんは研磨さんのものなんですか」
『うん、わたしは研磨くんのものだよ』
「はい、わかりました」
『…えっ』
他の人から彼氏がいるって言われても、
実際彼氏に会っても、
いまいちパンチがなかったけど。
これを言われたら、少し、セーブをかけれる気がした。
…と、同時に燃えてくるものもあるけど。
「俺、まだ伝えてないんですけど、いいですか、伝えて」
『うん?なに?』
「俺、穂波ちゃんのこと好きです。
今はまだ付き合ったり、キスしたりはできないけど、
もしかしたらできる日が来るかもしれない。
だから俺、まだ好きでいる。 それでいいっすか?」
『…え、あ、はい。ありがとうございます』
穂波ちゃんは妙にかしこまった様子で頭を下げた。