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【ハイキュー】   “波長”   【孤爪研磨】

第16章 獅子







「…大体想像はつくけど」

『…え』

「遅刻した日?」

『うん』

「覚えてないの?」

『………』






眼と髪の色が綺麗で吸い込まれたって言ってた。




…想像つくからなー






「前日も1日海入ってたって言ってたっけ」

『…ん? うん』

「遅刻した日も早起きしたんだよね」

『うん』





海に行ってきた日の穂波は、どこか蕩けてる。
眠そうなのと、比喩ではなく本当に海に抱かれてるんだろう。
…気持ちいい事してきたんだなっていう感じ。





「…で、2時間くらい?車と電車」

『うん』

「…寝た?」

『うとうとしたけどぐっすりはしてなかったと思う。ちょっと興奮してた』

「………」

『…その状態で走って、酸欠でぼんやりしてるけど、ちょっとハイな感じで』

「…綺麗なものを見て吸い込まれるように魅入ってた、と」

『………』

「そのときなの?キスされたかもしれないのは」

『あ、うん。 …あぁごめんなさい』

「キスだけ? …ていうかおれとのキスでそいつを思い出したの?」





…あ、まずい。
別に怒ってなかったはずなのに、だんだんイライラしてきた。






『…違う、そうじゃない。 …けど』

「けど?」

『…けど、今わたしがなにを言っても言い訳にしかならない』

「………」

『………』

「…さっきみたいなキス?穂波も応えたの?」

『唇に唇の感触があったことしか思い出せない …からそれ以上はない。
ていうか応えるって何?舌とか入れたってこと?
わたしってそんな… いや、なんでもない』





おれは何にイライラしてんだろう。

不用心な穂波に?
おれとのキスからのこの流れに?
顔も知らない1年に?





…不用心って………
そんなこと、全然おもってない。

そういう、穂波の勝手にほわほわするとこは、おれの中では魅力の一つだけど

でももし相手が抱きしめるとか触れるだけに留まらなかったら
穂波はどうなるんだろ、とか
襲われやしないか、とか…





そもそも穂波が相手のキスに応えるわけない。

いや、魅力があったら応えるんだろうけど、
それっておれと別れるときだ。











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