第16章 獅子
担任の先生は少し驚いてたけど
別段触れることもなく。
1限の高木先生もなにやらにやにやとしてたけど、
特に研磨くんの髪の色には触れてこなかった。
高木先生は、今年度まだあまりいじってこない。
にやにやと、にやにやと、少し遠くから全体像を見て楽しんでいる、といった感じか。
…逆にこわい。
気味が悪い、だなんて言ったら怒られるだろうな
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今日も屋上でお弁当を食べた。
最近は屋上が気に入ってる。
芝や土がないのは残念だけど空が近い。
それになんだか1階は、
1年生のまだ慣れない空気にわたしまでそわそわしてしまう。
中庭も1年の教室も思い出いっぱいあるので、
だんだんと慣れてまた中庭でも食べたいなぁとは思いながら
「やっぱ穂波がすき」
『…へ?』
ゲームをしている研磨くんが徐ろに呟く
「なんで?どうしたの?って聞いてこない」
『…あぁ、髪の色?』
「うん」
『聞くときは聞くだろうけど、研磨くんの様子がどうかしたから染めたって感じでもなかったし』
「?」
『悩んだりしたわけじゃなさそうだったってこと。
髪の色が変わっただけで、あとはそのまま研磨くんなんだもん』
「………」
『…それにほんとによく似合ってる』
屋上で風に吹かれてる
ブロンドヘアの眩しい琥珀色の瞳の少年。
…まるで映画の登場人物のようだ。
髪の色は似合ってる。
地毛の黒い髪の毛も大好き。
でもだからどうとかじゃない。
『わたしが好きなのは研磨くんなんだもん』
研磨くんの顎に手を添えてそっと口付ける
柔らかくて、あったかい。
唇の感触。
…ん?