第16章 獅子
ーリエーフsideー
昨日の昼休み、
中庭とかにいないかなぁって探してみたけどいない。
放課後もふらふらしてみたけど見当たらない。
結局朝しか会えなかった。
今日は遅刻せずに学校に着きそうで、
正門近くで中学のときの1つ上の先輩に会ったから聞いてみる。
「おはざーっす!」
「おー!リエーフ!お前も音駒なんだな」
灰羽「ぅす! あの先輩、聞きたいことあるんですけど」
「お、気になる女子がいた?」
灰羽「 ! なんでわかるんですか先輩! エスパーっすか?」
「…テキトーに言っただけだよ、お前相変わらずうるせー。静かにしてたらモテそうなのに」
灰羽「運命なんですよ! 気になるどころじゃないんです!」
「…んだよ。笑 …で、見た目とかクラスとかなんか教えてくれなきゃ答えようがない」
灰羽「穂波ちゃん!」
「………あ? …何年?」
灰羽「2年です」
「………何組」
灰羽「…? …3組っつってました」
「…一応念のために聞いとくけど、苗字は」
灰羽「運天! 運天穂波ちゃん!」
「…っだぁぁぁ〜〜〜 …運命って」
灰羽「どうしたんですか、先輩?」
「お前が不憫でならん」
灰羽「 ? 」
「…彼氏いるよ、その子。有名カップルだぞ。よくわかんないけどすごいお似合い、みたいな」
灰羽「まっマジですか! …でも運命なら、そんな壁乗り越えれるんじゃ」
「あー無理無理。 多分絶対無理。 3年で一番モテるサッカー部のキャプテンもフラれてた」
灰羽「なっ! そんな一番モテるからって穂波ちゃんの心を掴めるわけじゃないじゃないですか!」
「…いやぁ、応援してやりてーけど、ちょっとこればっかりはお前のためを思って応援しない方向でいくわ。
…じゃーな、お前、部活でもしたら? 新しい運命が見つかるかもよ」
彼氏いるのか。
でも手も振り解かなかったし、
キスも嫌がらなかった。
運命だって、穂波ちゃんも言ってたし。
…彼氏ってあの先生か?