第15章 さくら
・
・
・
カズマは凄かった。
素直に凄かった。
よく知らなくてもやっぱすごいものはすごい。
今まで穂波と滑ってたのとかは
だいぶ力抜いてたんだな、と。
それでも上手い、かっこいいと思ってたけど。
この宮下公園の設備は上級者向けらしくて、
だからかな、多分今まで見たことなかったようなのが見れた。
それに撮影する人もすごい。
初めてみたけど、そっか、一緒にスケボー乗って撮ってくんだなーと。
カズマや撮影隊を見ながら
根性について考えてみたりもするけど、
やっぱりよくわかんなかった。
カズマって根性っぽくない。
多分おれと一緒だ。
…根性が何かはわかんないけど
「…あ、研磨も穂波もまだみてたんだ」
『…うん!かっこよかった。もうおしまい?』
「もー無理。お腹空いた」
『あれ、食べてなかったの?』
「いや、ゲーセン行く前に食べたけど…」
『そうだよね、育ち盛り』
「研磨、穂波ん家帰るの?」
研磨「うん」
カズ「あしたはいる?」
研磨「明日は部活」
カズ「…ちぇ」
研磨「カズマ、凄かった。かっこいいね。 …ビデオできたらみせて」
カズ「…ん」
『明日部活だし、帰ろっかぁ』
カズマのお父さんが送ってくと言ってくれたけど、
電車で帰ることにする。
金曜日の夜の渋谷は賑わってて、
穂波の手を少しだけ強く握って歩いた。