第15章 さくら
ー研磨sideー
あれ、カズマと一緒に喋ってるのって………
「わ、穂波、ごめん、 …おれ」
…どんだけやり込んでた?
久々のゲーセンでうっかりしてた。
こんな風に誰かときたことなんてなかったし。
最初の方は穂波いるからなって、頭にあったんだけど…
ーYOU LOSEー
手元は狂い、
あっという間におれの操る勇者は吹き飛び倒れ
お前の負けだと画面にでかでかと表示される
continue?の問いに↓を動かしNOを選択しひと息つく。
『…研磨くん、お水飲む?』
「…あぁ、うん、おれのある。ありがと」
水筒を手に取り飲み始めると、
想像以上のに喉の乾きに驚く。
どれほどの間水分も摂らずいたんだろう…
穂波を放ったらかして
「…はぁ」
振り向いて2人をみると手を繋いでる。
指と指を絡めてるけど、
側から見たら姉弟にしかみえないだろうという感じ。
「もうやんないの?」
「…あ、うん …穂波、えっと」
『こういうのって対戦とかできるんでしょう?』
穂波に怒った様子はない。
場所がいつもと違うから、いつも通りという感じもしないけど、
笑顔は弾けるように揺れる花みたいな。
ぱぁぁんとおれの中に入ってくる。
「…え?」
『こんなことって滅多にないし、カズくんもやったら?』
カズ「…それもいいと思ったけど、せっかく手繋いでるし離したくない」
研磨「………」
『………』
研磨「…じゃあ、とりあえず、出よっか』
カズ「…手、解かないの?」
『…え?なんで? ここ目が回りそうになるから手、繋いでた方が安心する』
…うわぁ、おれこんな賑やかなとこに穂波のこと
置き去りじゃないけど 置き去りにしちゃってたのか