第5章 夏
『明日から会えないから、もう一回ほわほわしておく』
穂波はそう言って、
おれの頭に両手を添えて、ゆっくりとキスをした。
おれも穂波の腰に腕を回し、ぐいっと身体を近付ける。
もう一度、キスをする。
軽いキス、啄むようなキス、長いキス、
角度を変えながら何度も口付けをする。
唇が触れてる時はもちろん、ゆっくりと離すときがたまらなくぞくぞくする。
もっと強く抱きしめようと手を動かすとと、
穂波の背中に手が触れて我に返った。
そのままワンピースの中を開拓していきたい気持ちももちろんあったけど、
その気持ちは抑えて腰に手を回し直し、唇をそっと離す。
「…ほわほわどころじゃなくなる…」
そういうと穂波はクスッと笑った。
『…うん。でもいまはほわほわの最骨頂』
「…ん。」
『じゃあ、そろそろ行こうかな』
「…ん。」
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『研磨くん、合宿に練習に、頑張ってね。
向こうからも、連絡するね。』
「…ん。Skype、できたら…しよ。」
『うん、しようね。じゃあ、またね。』
「うん、また。いってらっしゃい」
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離れる時間も
一緒にいる時間も
なにもかもが初めてで
でもどこかいつも通りで。
一緒にいない時間もひっくるめて
穂波との時間、のような気がしてくる。
少しだけ、合宿にも
クロのいう、気合いみたいなもの、入るような気がした。