第5章 夏
家についてからも散歩の余韻があって
ベッドに2人で並んで座っていた。
『そろそろ帰ろうかな、明日から合宿だもんね』
「ん、まだ大丈夫だけど… 帰るなら駅まで送る」
『ありがとう。今散歩から帰ったばかりだし、じゃあ、17時過ぎくらいにでるね』
「ねぇ、穂波」
『ん?』
「穂波はね、おれが初めて好きになった人。
アイス屋に一緒に行くのも、手を繋いで歩いたのも、…キスも全部初めて。
穂波はさ、前にも、こういうことした人…彼氏、居た?
別に、嫉妬とか不安とかじゃないんだけど、ただ知りたくって」
『…好きに、なった人は小さい頃から数えるとたくさんいる。
かっこいい大人の人たちに会う機会がたくさんあったから。
こうやって、一緒に過ごしたりする男の人、
お付き合いしたことのある人は前に1人いるよ。
わたしがハワイにいた時に、その人もニュージーランドからハワイ島に滞在していて、
一年くらいかな。お付き合いしてた。
わたしが13歳の時で、彼は17歳だった。
今はその彼は、オーストラリアにいるはずだよ。ハワイ島にはいない。
お別れしたのは、お互いに拠点も違って、
大人じゃないから、どっちかに着いていくってこともできないし、
お付き合いした時から、分かっていたお別れだった…かな。』
13歳のとき17歳…
中2で高3と、か。穂波の雰囲気なら全然あるだろうな。
「ん、そっか。知れてよかった。ありがとう」
『ねぇ、研磨くん。
わたしね、研磨くんのこと大好き。
これからもずっと一緒にいれたら、って今からもう思ってる。
だから、一緒にいても違うことしたり、
違う場所で、自分のやるべきことややりたいことをする時間を持ててるとね、
これから先も一緒にいれるんじゃないかなって思うの。
15歳だし、全部想像でしかないけど…
一緒にいる時間、一緒に楽しんだりそれぞれで楽しんだり。
一緒にいれない時間も、全部ぜんぶ味わって過ごしたい。
研磨くんに出会って、そんなことを考えて、ずっと思ってるよ』
「…うん。そうだね。
…なんかおれも穂波とはずっと居れそうって思うかも。」
『かもって!笑』
「…え、いや。…ぇーっと」
『…ふふっ』