第15章 さくら
ー穂波sideー
周平に遭遇して、
研磨くんと周平がわたしをよそに話してて、
そういうのがじわじわと嬉しい。
研磨くんと幼なじみが、
仲良くというか普通に喋ってるだけなんだけど…
周平がカナダに行く前、
わたしが中1のころに周平と一緒に遊んだりしたことのある友達がやってきた。
周平の一個上だったからいま高3かな。
人柄とかは問題ないんだけど
研磨くんにはきっと苦手なノリの部類かなぁとなんとなく。
研磨くんが話さないのはいつもの調子で特別なことじゃないけど、
周平もなにか察したのか2人を連れてまたスケボーしに行った。
2人がいる間はいつも通りの喋らない研磨くんだったのだけど、
さっきからなにか考え事してる。
しばらくずっとここにいたし、
声をかけて歩くことにする。
「…穂波も周平もどんな人といても変わらないね」
『うん、研磨くんもね』
「え、おれ?」
『うん、研磨くんもいつも研磨くんだよ。
無理に話そうとしないし、もしさっき話しかけられてもいつも通りの研磨くんだと思う』
「………」
『そのことにわたしはいつもものすごく安心する』
「…ん」
『金太郎飴』
「あぁ」
『切っても切っても研磨くん』
「…ん」
『あ、でもわたしにしか見せて欲しくない顔もある』
「…あぁ、それはわかる」
『………』
歩いてそのまま渋谷の方に抜けていく。
賑わう通りを手を繋いで歩く。
研磨くんとこんなところ始めてきた。
文化祭のときも人混みではあったけど、
やっぱ街は人がおおいなァ
ふと、研磨くんの目線が一ヶ所に向いてることに気づく。
目線の先を追ってみると、
そこにはゲームセンターがあった