第15章 さくら
「かわいいよ」
『へっ!?』
「穂波らしくて、似合ってればなんでもいいけど。今は今のままでいい」
『………』
「…でもいつもと今日、ちょっと違うなって思って」
『…ん』
「………」
『………』
「…えっと、 …いつもかわいいけど、今日なんか違ってかわいいね …って言いたかっただけ」
『………』
「………」
『ありがとう。嬉しい』
気休め程度のお化粧しかしてなくても、
それに気付く研磨くん。
いくら周りをよく見ているとはおえ、
そんなとこはみてなさそうなのに…
「…ん。 ちゃんと伝わったかな」
『 ? 』
「…いや、最初からそういえばいいだけだったよなって思って」
『…でも研磨くんは気にならないことは質問しないでしょ?』
「…うん、まぁ、そうだけど」
『研磨くんの言葉はいつも真っ直ぐに届いてる。 …ありがとう』
もうすぐ正午。
ベッドでだらだら
朝昼ごはんもだらだら
おまけに研磨くんの嘘のない嬉しい言葉
なんて幸せな午前だったんだろう。
このまま一緒に公園に行けるなんて。
至福。
「…ん、じゃあ行こっか」
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