第5章 夏
携帯と財布を持って家を出た。
穂波は手に水筒を持ってる。
「水筒、いつも持ってるの?」
『うん、極力ペットボトル買わないようにしてて。
小さい頃からだから、もはや習慣なんだけど』
「…へぇ。海のこと?」
『うん、海のこととか生き物のこととか。地球のこと。
海に行くとさ、やっぱプラスチックのゴミ、いっぱいあるんだよね。
そういうのずっと見てるから、いろいろ。
些細なことだけど、できることはやりたいな、って』
「…へぇ」
やっぱり、いろいろ考えてるんだな。
『研磨くんは、水筒重いって思うかな。』
「…んー、どうだろ。使ってみないとわかんないけど、ちょっと興味あるかも…」
『ほんと?とりあえず散歩の間は、これあるから、喉乾いたら言ってね』
「…ん。…あのさ、小さい頃クロと行ってた公園があって。
わりと近くに小さいアイスクリーム屋ができてたと思うんだけど、行ってみる?」
『わ!いいね。行こ行こ』
店に入ってみるといろんな色のジェラートが並んでいた。
穂波は黒糖と抹茶
おれはミルクとパイナップルにした。
公園のベンチに座って食べる。
『すごい乗り気で来ておいてお財布持ってなくてごめんネ』
「…別に、いいよ。最初からそのつもりだったし。
穂波、和の味セレクト」
『ありがとう、研磨くん。
ふふ、明後日からハワイだし、和の味セレクトにした。笑
でもいつもミルク頼んじゃうの。初めてかも、ミルク頼まなかったの』
「…ん、一緒に食べよ」
『うん。幸せだね』
「…ん」
『ハワイではね、お兄ちゃんにも会うんだ。
今はカリフォルニアにいるんだけど、ハワイで一緒に過ごせることになった。
あと、フラのレッスンも受ける。
古典フラは日本には先生が少ないから、ハワイに行くと必ず習いに行ってる。
海とか、トレッキングとか、遊びもいっぱいしてくるけどね。
研磨くんが、合宿や練習をしてる間、わたしもいろいろ吸収してくる。』
「…うん」
『2週間なんてあっという間だけど、やっぱり出発前は寂しくなる』
「…ん、でも大丈夫。何も心配してない」
『………うん。2週間後に会えるのが楽しみ!』
「…ん。家、帰ろっか」
帰りは手を繋いで歩いた。