第15章 さくら
いつも穂波とご飯を食べてる時は
なんとなくゲームはしないんだけど
今日はこんな感じだし、
果物をつつきながらゲームをしてる。
パンの焼ける匂いが部屋に満ちてる。
いい匂い。
穂波は小さな声で歌を歌いながら
台所で何かしたり、
パタパタと脱衣所に走って行って洗濯かごを持ってきたり、
また台所に戻ってがさごそしたかと思ったら
次は洗濯かごを持って2階に登って行った。
…いわゆる、家事ってやつをすごく、楽しそうにしてる。
さっき、穂波に言いそうになってやめたこと…
「おれさ、穂波のこと幸せにする」
こんなクサいことを言いそうになった。
…なんか、周平みたいにもう仕事もあるならまだしも、
普通の高2のおれが言うことじゃないな、と思ってやめた。
これは、また、いつか、かな…
そもそもおれがどうこうしなくても
穂波は自分の機嫌は自分でとってて、
おれがいなくても幸せだろうし。
でもそういうのとはちょっと違って、
おれなりにできることはやりたいというか、
そういうニュアンスの…
あーちょっと考えだすとよくわかんないけど、
まぁそんなことを言いそうになったし、
今も普通にそう思う。
幸せにしたい …って。
…でもなんかすごいふわっとしてるよな、これ。
やっぱ、考えだすと意味わかんない。
先、シャワー浴びてこよ