第15章 さくら
アキくんはあのあと、残り時間が2分切ったくらいのときに
乗るっていうより飛ぶみたいな技を一つ決めて、
点差をつけて勝ち進んだ
…よくわかんなくてもすごい。
これを虎がみたら、根性と形容するのだろうか
やっぱり、根性はおれには難解で、
ふとしたときに考えてしまう。
穂波はきゃー!とか言わずに、
小さく、やったぁ…と呟いてから
深呼吸を一度してパンを焼きにいった。
『…焼いてすこし置いた方が美味しいんだけど、だらだら食べすぎかなぁ?』
「…いや、別にいいんじゃない。たまにだし」
『うん! …ゲームしててもいいからね。
食べ終わってさっとシャワー浴びてから家でよっか』
早く目が覚めて、2度寝して、エッチして…
すごいゆっくりだらだらしてるけどまだ10時すぎたとこ。
代々木公園に行ってもゆっくりできそう
穂波のレッスンはたしか18:30からだよね。
『…はっ!』
「…なに、どうしたの」
台所で何かしてる穂波が何かに気づいた感じ。
落ち着きをみせたり、賑やかになったり、
でも、うるさくなくておもしろい。
『奈々さん、ベトナムに行くって言ってたや』
「………」
『今日、タヒチアン休み』
「…お」
『春休みの間レッスン行ってないから、すこし残念だけど、
でも今日一日時間制限ないと思うとなんだかとても嬉しい!』
「…ん」
おれも。