第15章 さくら
しばらくそのまま、
優しくキスを続けた
溺れて息ができなくなりそうなほど、甘い時間
そっと惜しむように唇が離れる
「穂波、すき」
『…うん。わたしもすき。大好き』
「…ん」
研磨くんはこてんと横に転がって
「お腹すいた…」
と呟いた。
『少しずつゆっくり食べよ。ブランチ』
「ブランチ?」
『朝昼ごはん』
「…ん、いいね。 少しずつ?」
『…いや、パンも焼くつもりでいたから、
パンを待ちながら少しずつって思っただけ』
「…ん、任せるよ。 楽しみ」
《 As we get set for heat 2, quarter finals of the Rip Curl Pro, Aki 運天 in perfect condition is taking on....》
(リップカールプロ準々決勝2組目、今大会絶好調の運天アキとマッチアップするのは…)
『あ、お兄ちゃん』
流したままにしてた大会のライブ実況からお兄ちゃんの名前が聞こえた。
さっきまで、音が入ってこなかったな
静かにしてたのに不思議。
「アキくん、始まったんだ。みてく?」
『…んでも35分あるから、下で観ながら食べながら作りながら…って感じにしよ』
「…ん」
パンツを履いて、服を着ようとしたところで
「穂波、おれの服着てていいよ。部屋着だけど」
研磨くんが突然言う。
さっき、一度借りた白いカットソーのことだ。
研磨くんもオーバサイズでゆったり着ていたから、
わたしもゆるっと着れるやつ
研磨くんの服を着てていいなんて、嬉しい
『やった、じゃあ着る』
ご飯の後にになるけどシャワー浴びるし、
ブラはつけずに研磨くんのカットソーに袖を通す