第15章 さくら
ー穂波sideー
「…それは怒った話? 喧嘩の話?」
喧嘩だとか怒るとだとか、
そんなことをさっきから掘り下げされている。
『…んー、あ、そっか。喧嘩か。 今のは怒った話かな? ん?』
「………」
『Tシャツのときは、小学1年生だったかな。
怒って、許せなくて、しばらく口きかなかった気がする。
そうなってくると、相手は怒ってなくても喧嘩になるのかな』
「…あぁ、それはどうなんだろう」
『お風呂のときは、お風呂から上がったら遊児、
たっぷりとしめられてたから、怒る気も起きなくて普通に将棋した気がする』
「…穂波、将棋するの。 それ以上に遊児も将棋できるの?」
『ふふ、わたし将棋好きだよ。オセロとか…
何手か先を読んで、誘導して、陥れていく感じ、すき。笑
相手が置くとこない!ってなると心のなかでガッツポーズ…』
「…穂波、こわ」
『あはは、でも研磨くんには敵わなそう。研磨くんも将棋する?』
「…あんましないけど、できなくはない」
『遊児はそんな弱くないよ。 周平には将棋は敵わない。無理。オセロなら勝てる』
「…へぇ」
『周平との喧嘩は、スケボーのランプでヘルメットせずに思いっきり落下して頭ぶつけたとき』
「………」
『カナダ行く前だから周平が中1だったかな、わたし小6』
「………」
『スノボのパイプでアイスバーンに思い切り頭ぶつけて意識無くなって…ってした後だったから、
怖くて怖くて泣いて怒った』
「………」
『…結果なんともなくて本当によかったんだけど、
周平も周平で怒っちゃって喧嘩になった』
「…そっか、 なんか想像つく」
散々言い合って、
止まらない口論をやめさせたのは
周平からのキスだった、とは
言う必要のないこと。
小6の終わり頃。
わたしのファーストキス。
「…どうやって仲直りするの」
『…へっ!?』
「…笑 へって…」
『研磨くんと山本くんの時と一緒じゃないかな。
それぞれの関係性に合った流れに沿って、勝手に仲直りする』
…これは、嘘ではない よね。
オブラートに包んだ言い方というか
「それぞれの関係性に合った流れ… キスとか?」