第15章 さくら
『ご飯、美味しかったね。 研磨くんのお母さんのご飯すき』
おれの家から穂波の家まで歩くのは
散歩のような感じですき
穂波と歩くのはいつでもどこでも心地いい
「…うん、穂波と似てるわけじゃないけど、でも似てる」
『…? …うん、味付けとか、多分、そうかも。
まるとまるの重なってる部分、半分以上あるとおもう』
「………………」
まる と まる の重なってる部分…
○ と ○ の重なってる部分…
♾…
○が好みか何かで 同じものは重なってるってこと?
「…あぁ、うん。 そうかもね」
『うん』
「穂波って怒ったり喧嘩したりするの」
『…んー、正直あんまりしないかも。そんな忍耐強くないし』
「………」
『一緒にいて怒っちゃうような人と長く近い距離で一緒にいたことがない。 まだまだ未熟者』
「………」
『だから、そういう状態になったら怒るんじゃないかな。制御効かなくならないか怖い。
福永くんに水かけてもらわなきゃ』
「…ふ 笑」
『あ、でも大事な人を侮辱されるとムッとするよ』
「…へぇ」
『でも、怒って喧嘩とまではいったことない。その場を去ってしまう』
「…あぁ 周平とか遊児とも喧嘩してない?」
『…ん? あー、そっか。そういう喧嘩か。
そういうのはそれなりにあったよ、多くはないとはおもうけど。
2人とも赤ちゃんの頃からの付き合いだから、まぁそれなりに』
「…例えば?」
『遊児は、そうだなぁ…
わたしのお気に入りのTシャツを着て木に登って、引っ掛けてビリビリにしたときとか。
…あ、中1のときにおばあちゃん家でお風呂入ってたら、
遊児も服脱いで入ってきたときとか、怒ったっていうか、出ていけー!ってなった。
その後、お兄ちゃんたちから怒られてて、わたしは怒る感じじゃなかった』
「…それは怒った話? 喧嘩の話?」