第15章 さくら
『あ、朔さんもするんだ。 …え、オンラインってことはこの世界の中でも会えたりするの?』
「…うん、待ち合わせたりできる」
『へぇぇ… なんだかすごい世界だねぇ。 これは見ていられるよ、ずっと』
「…ふ 笑」
やりたくならないのかな、とか思うけど
穂波がスケボーやってるのとか、
公園とか中庭で何とかわかんないけど自然と?戯れてるのを
ずっと見てられるって思うのと一緒かな、とも思う。
「ご飯できたよ〜 お待たせ〜」
母さんの声がする。
「下、行こっか」
『うん、そうだね』
ログアウトして、下に降りる。
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『うわぁ、美味しそう…!』
母さんの料理に目をキラキラさせながら穂波が呟く。
「んふふ。お口に会うといいのだけど…」
よくわかんないけど母さんも嬉しそう。
父さんも帰ってきてて、風呂上がりの顔で座ってる。
ロールキャベツ、ほうれん草のソースのパスタ、色々乗ったサラダ、
海老とアスパラの炒めたの、イカのフリッター
…なんかちょっと豪華な気がする。
まぁそういうもんか。
『どれも美味しい〜 ミモザサラダ〜』
「…ふふ、ここに反応してくれるのは女の子って感じで嬉しいなぁ。
春はミモザサラダ、一度は作りたいよねぇ」
『うんうん、作れなくても今日こんな綺麗なの食べれたら満たされてもいる。
でもきっと、今日のを思い出してまた作る〜♡』
「…ミモザってオーストラリアの花だよねぇ?咲いてた?」
『…オーストラリアの春は9月ごろだから、今回は咲いてなかったです〜』
「…あ、そっか南半球………」
母さんは酒を飲みながら、
2人でわいわいと盛り上がってる。
おれ以外の人と穂波が話してるのをみるのは楽しいけど、
自分の親となるとなんか、違ったおもしろさというか。
そのうち慣れるんだろうけど、未だどこかシュールだ。
父さんはたまに呟きながら、
美味しそうに母さんの作ったご飯を食べてる。
…居心地は悪くないけど、
やっぱりまだ、シュールな感じ。
でもまぁ、親と彼女が仲良いのは多分いいこと
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