第15章 さくら
ー研磨sideー
つい、先走って将来の話みたいなのをしてしまった。
オンラインゲームの大会とかくらいまでは
まぁ話そうと思ってたけど、
なんか、気付いたらそれ以上のこと喋っちゃってた。
先走りすぎでしょ…
まだ2年始まったばかりなのに
昔から、漠然と家で仕事をしたいと思ってた。
いろんな方法があると思う。
どこかに勤めてから、独立するって手もあるだろうし。
でもその、どこかに勤めるってのも、できることなら避けたい。
大学に行きながらでも、ゲームで少しお金を貯めれたら、
何かの足しになるんじゃないかな、って考えは結構前からあった。
でもその何かはまだ浮かばないし、そんな焦ってもないけど、
アキくんと前に話してから、すこしは形が見えてきた気もする。
でもまだまだぼんやりしてるから、
そこはまだ穂波に話せる段階じゃない。
外に出たくない、人に会いたくない、が理由だったけど、
穂波といるようになってから、
家でネット環境と道具さえあれば仕事ができるってことは、
どこに家を構えても仕事ができるんだって思った。
穂波はきっと海の近くに住みたいんだろうな、とか。
いや、ほんと飛躍しすぎなんだけど…
つい、そんなぼんやりとしたことを気が付いたら話しちゃってて…
イミワカンナイ
オレ、フワフワシテテイタイヤツ…
でもやっぱり穂波は、
『未来のイメージを聞けるのは嬉しい。 …その中に少しでもわたしがいるなんて、すごく嬉しい』
こういうことを真っ直ぐに伝えてくる。
「…ん。 少しって感じでもないけど、いっぱいにしてもね、ふにゃふにゃになっちゃうから、
まぁ、少しくらいに留めてる、意図的に」
『…ふにゃふにゃ?』
「…ん。ふにゃふにゃ。 …まぁいいよ。 …あ、このゲーム、朔さんもしてるって」
穂波と少しでも一緒に居たいってことに比重を置くのは流石にやばい、って思う。
だから意図的に、そうならないようにコントロールしてる。
でももう、この話は終わりにしたい。
そう思って、アトリエの朔さんの話にすり替えた。