第15章 さくら
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「ただいま」
『おじゃまします』
家に着くと今日は休みだった母さんが夕飯の支度を始めるとこだった。
「おかえり、研磨。
穂波ちゃん、久しぶりだね。
2年になっても研磨のことよろしくね」
『はい!こちらこそよろしくお願いします』
「…ふふ。今日は手伝いとか気にしないで、ゆっくりしててね。
いつも研磨にご飯作ってくれてありがとう。お弁当も」
『いやいや、そんな!いつも大事な研磨くんをお借りしてすみません』
「あはは!もう貸せるならずっと貸してても良いんだけど、そういうことじゃなくて。笑
迷惑かけっぱなしになるから、そうもいかないのよね」
『迷惑だなんて…』
「…穂波、もういいから。部屋行こ」
『え、でも』
「いいのいいの、今日はゆっくりしてて。できた頃呼ぶわ」
『…じゃあ、お言葉に甘えて』
「あ、でも、一緒に台所立つのもとても楽しいから、
またの機会には一緒にしようね」
『はい、わたしも、そんなことが言いたかったです!』
「あはは、本当に素直な子。 …はい、じゃあまたあとでね」
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制服から着替えて、ざっと穂波ん家にいく準備をする。
『あれ、花びら』
「…ん?」
『桜の花びらが落ちてきた』
「…あぁ …ずっと髪についてた。少しずつ落ちたけど、それ、最後の一つ」
『えっ、公園で全部取ってくれたかと思ってた』
「ううん、ほとんど残した」
『…?』
「…なんで? だめ?」
『んー? だめじゃないけどどうしてかなぁって』
「リボンとかピンとこないけど、穂波の髪には花や葉っぱが似合う」
『…ん』
また、もじもじし始めた。
髪を耳にかけて、そっと口付ける。
「ゲームする?」
『…んー、研磨くんがするのみてたい』
「…なんでもいい?」
『うん、なんでもいい』
「…じゃ、ちょっとこっち」
PSPでもWiiでもいいけど、ネトゲにする。
…なんとなく
…今日の公園での会話の名残かも