第5章 夏
しばらくして
お盆に麦茶と研磨くんの分のお昼ご飯を持って研磨くんが入ってきた。
「お待たせ。…本、読んでたの?」
髪が濡れてる。色っぽいナ…
『…うん。お茶ありがとう。いただくね』
「…ん」
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・
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「ちょっとこれ、片付けてくる」
研磨くんはお昼ご飯を食べ終えると
お皿を片付けに降りていった。
…すぐに持って降りるんだな。
…ふふ。ついつい観察しちゃう。
『パソコンは、よく使うの?』
再び部屋に戻ってきた研磨くんに尋ねる。
「…ん。よく使うよ。なんか、いろいろ」
『へぇ、自分の机にあるのってかっこいいね。いいな』
「……別に」
研磨くんはわたしの隣に腰掛けて答える。
「ねぇ、穂波」
『…ん?』
「キスしたい」
答えるまもなく、唇を合わせた。
いままで外や学校でしか会わなかったので軽いキスばかりだったけど、
今はゆっくり、角度を変えながら何度も、啄むようにキスをした。
「…きもちー」
『…うん、きもちいい。研磨くん、好き』
「………そうだ、ゲームする?マリオカートもあるよ」
もう一度唇に軽くキスを落として研磨くんは言った。
『…うん、やろやろ!』
研磨くんはさすが、すいすいと走らせいつも一位。
わたしもさすが、壁にぶつかる、転がる、落っこちる、逆走するのはちゃめちゃ運転。
半ば呆れながらも研磨くんが的確な指示を出してくれるけれど
それをわたしが実行できるはずもなく。
ケラケラと笑いながら、何度もマリオカートで遊んだ。
『…あー面白かった!
ねぇ、研磨くん、最近いつも家でやってるゲームは?
研磨くんのやりたいことやってほしいな』
ゲームを片付けながら言った。
次は、研磨くんがいつも通りにしてるそばにいたいと思ったのだ。
「…家でも最近はずっとこれだけど」
研磨くんは鞄からよく電車でしているゲームを取り出した。
「これしてたら、穂波、楽しくないでしょ」
『ううん、楽しいの。研磨くんがゲームしている時の手先はわたしの大好物。笑
色っぽくって、ほわほわする』
「………」