第15章 さくら
ー穂波sideー
HRが終わると、後ろから指でつんつんってされる。
振り返ると、
「…今日か明日、うちでご飯食べてってって母さんが」
研磨くんがいて、そう伝えてくれる。
一学期の席は研磨くんの前、しかも窓際。
最高の席順。
研磨くんの後ろだったら、横顔とかみれるからもっとよかったけどナ…
『わ。嬉しい。 どっちがいいかな?』
「どうせ荷物取りに行くし、今日かな。 …そう伝えとく」
『うん、楽しみ。 ありがとう』
「すぐ家に向かう? …このままどっか行く?」
『…わ。それもいいね。…制服デートだねぇ、ふふ』
「セイフクデート…」
『制服デートってみんなどこ行くのかな』
「セイフクデート…」
『…? このあとどこ行こうね』
「………公園とか?」
『公園いいね、普通に石神井公園かな』
「…代々木公園とか」
『あ、渋谷まで出るのか。それもいいね。 …代々木公園好き』
「…じゃあ、今日は石神井公園で、明日代々木公園いこ」
『わーいいね、まだ桜咲いてるもんね。お花見ダ』
「…ん」
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公園に行く前にコンビニでおむすびとかを買って、
桜の木の下のベンチで食べた。
もう散り始めていて、桜吹雪が舞う。
『綺麗だね。 …オーストラリアに行ってる間にこんなに季節がめぐってる。
春は足が速いね。 桜は特に早足だ』
「…穂波と桜みたいなって思ってた」
『…え?』
「いつもは、あ、桜だな くらいなんだけど。
今年は、穂波とみたいなって。 桜見てる穂波の顔みたいなって思った。
日本にいなかったからかな」
『…研磨くんと桜みれて嬉しい。 ありがとう』
「…別に。 おれが一緒にみたかっただけだし」
…その言葉がどれだけわたしの心を高鳴らせるか、
研磨くんはちっともわかってないんだろうな。
…だからこそ余計にきゅんきゅんするのだけど
「穂波、おかえり」
『ただいま、研磨くん』
はらはらと桜の花びらが舞う中、
2人の唇が重なる
柔らかくて優しくて、
いつだって新鮮な研磨くんのとのキス