第15章 さくら
ー研磨sideー
ボタンを留めるためにかけた手を穂波に下される
穂波はおれのボタンを上まで留めて、
それからネクタイをキュッと締めて、
ネクタイとか襟とかの形を整える
なんでもないことなのかもしれないけど…
こんなことをされるとなんか… 脱がされてないのにな…
脱がされてる時みたいにどきどきするし
『You wanna look perfect on your first day』
ブレザーの襟に手を添えながらおれの目を見つめて さらっと何かを言う。
…あれこれなんだっけ 聞いたことある。
『…ふふっ やってみたかったやつできた〜』
「………」
『研磨くんは着崩しててもきまってるけどネ』
「…あ、SUITS」
ドラマのワンシーンだ。
観ながら穂波が繰り返すように呟いてた。
「…ピシッと決めなくちゃ、みたいな」
『そうそう、よく覚えてるね、スゴイ。
研磨くんのネクタイをキュッと締めるチャンスなんてそうそうないと思ってたんだけど。
…ふふ よかった。できちゃった』
「…次はくそったれだね」
『…ふふ。それいつ言うことになるの。笑 その場に居合わせれるといいんだけど』
「…なんか取引するときにでも」
『あぁ、そっか。大人になってからか。 …なるほど、ちょっと想像できるかも でも、言うかなぁ笑』
「新学期早々いちゃついてんじゃねーよ」
「あ、夜久くん。 …別に、いちゃついてない」
夜久「…お前ら同じ組なんだってな〜 先生たちに遊ばれてんじゃね?w」
研磨「………」
クロ「…まぁ成績落としてないらしいから、面白がられてるかもな。 …で、俺らも同じクラス」
『あ、そうなんだ。 …なんか嬉しいね?』
夜久「おい黒尾、肘掛けるな」
クロ「…高さがちょうど良くって」
夜久「あぁん?」
クロ「高さ、がちょうどいいんだよ。高さが。 低さじゃねぇんだよ」
夜久「………あ?」
クロ「…ん?」
夜久「…それってお前………」
「始業式はじまるぞー ばらけてるやつら列に並べー」
クロと夜久くんがうるさくなりそうなとこで時間が来た。
…よかった