第5章 夏
『ありがとう、研磨くん』
いつもと同じ、花のように笑って振り向く。
見る度に何度でも、はっとしてしまう。
「研磨〜ちょっとこい」
クロが呼ぶ
「お前、大丈夫か?」
「…いや、ちょっと、大丈夫じゃないかも」
「プハッ! …別に。って言うかと思った。まぁ、気負わずなー 2回までにしとけよ」
「…ん。…え?…別にまだしないよ。やめてよ。」
「まじかよ!すげーなー」
「…別に。することそれだけじゃないでしょ」
「…幼いのか大人なのかよくわかんねー、んじゃ、また明日なー」
『クロさーん、またねー!合宿頑張ってー!』
クロと別れて、家の鍵を開ける。