第14章 blooming
ー穂波sideー
大好き、だって。
10年は言い過ぎかもだけど、5年は持ちそう。
口数少なく、とりあえずの会話とかしない研磨くんからの、大好き。
先に好きになったのは研磨くんだなんて
そんなことは絶対にない。
わたしの方が絶対に先だ …って、そんなこと張り合っても仕方ないか…
「…SUITS観よ」
『…いいね、観よ。上でみる? テレビでも観れるけど…』
「…じゃあこのままここで観る」
『お茶入れるね。 …チャイ、飲む?』
「あ、いいね。飲む」
『…アイス食べたし… 甘さはどうしよ、どっちがいい?』
「…わかんない、任せる」
『…はーい』
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シナモンスティック、包丁で潰したカルダモン、
クローブ、黒胡椒の粒、しょうがとお水を鍋に入れて火にかける。
ふつふつしてきたら弱火にしてしっかり煮出す
香りが立ってきたら
牛乳、アガベシロップと少しの蜂蜜を加えて
たまに混ぜながらゆっくり温める。
吹きこぼれる寸前で火を止めて、濾して完成。
…いい香り。
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『はい、どうぞ』
「いい匂い」
『ね。…まだ熱いから気をつけてね』
「…ん あ、甘い」
『うん、甘くした』
「甘くしないかと思った」
『…ふふ、甘い気分。 でもお砂糖じゃないので甘くした』
「…へぇ なんで?」
『ん? なんとなく …次は6話目ダ』
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「アリーmyラブってなに」
『それも、アメリカのリーガルドラマだよ。わたし大好き』
「…へぇ」
『恋愛色も強いから、研磨くんはあんまりかも』
「…ふーん。でもハーヴィーは観たのかな」
『…笑 ハーヴィー好き?笑 ハーヴィーは観たかもね』
「…にやけてる」
『気のせいですよ。 お白湯、沸かしてくる』
研磨くんがこんな風に雄弁に喋ることはないかもしれないけど、
この頭のキレる感じとか、冷静なとことか、
物事の大半にあまり頓着がなさそうなとことか
その割に負けず嫌いなとことか…
凄腕弁護士になれそう って思う。
喋りたくないだろうし、そもそも誰かを弁護するってことに興味ないだろうから
将来の選択肢には微塵も入ってないだろうけど。
勝手に想像して楽しんでみる。