第14章 blooming
ー研磨sideー
「…先に好きになったのはおれかもね」
きっかけは穂波の無意識のボディタッチとか、
人懐っこさとか、そういうものかもしれないけど。
「だから何が言いたいのかというと…」
穂波はぽかん、とした顔でこっちをみてる。
…かわいい
「穂波、大好きだよ」
…好きと大好きってなんか、全然違うな。
穂波が言ったことそのまま返そうと思ったんだけど。
言っててはずかしい…
『…研磨くん。 …照れてるの?』
目を逸らせて顔を伏せたおれを覗き込んでくる。
「…別に。 照れてない」
『…じゃあもう一回言って』
「やだ」
『…ふふ、冗談。一度で十分。10年は持続する』
「…ふ。 燃費がいいね」
『でしょ、妄想力』
「…なにそれ」
『わかんない 笑』
…………
互いの唇が重なる。
優しく啄むように、何度も、何度も。
言葉なんて必要ない。
キスしてるだけで、気持ちが伝わる気がする。
会話してるみたい
でも、気づいたらすき。とか口走ってるし
穂波にすきって言われるのも
かわいいし いつ言われても嬉しい。
…気持ちに対しての嘘や隠し事がないから、だと思う。
だから、なにも心配はない。
カズマが言ってた、前の彼氏のことも。