第14章 blooming
ー穂波sideー
「…おれはもう、穂波のこと見つけてたよ」
…去年の今頃ってこと?
『…ん?』
「…入試のとき、見かけた。印象的で覚えてた」
『へ。 …そうだったんだ』
「入学式で同じクラスにいて、いるなぁって思った」
『いるなぁ、って。笑』
「今思うと、多分、最初から気になってた。
そんなこと考えもしなかったから、好きとかそういう認識に繋がらなかったけど」
わたしにもクラスの誰にも興味ない、っていう風に見えてた。
…泣きそう。
『わたし一つ、嘘ついたことあるんだ』
「ん? 穂波も嘘つくんだ」
『…はい、ごめんなさい』
「…ふ 笑」
『わたしは入学式で研磨くんのこと見かけてから、ずっと気になってた。
肩の力が抜けてて、でも小さいころからわたしの周りにいた肩の力抜けた人たちとはちょっと違って。
今思えば、カズくんはちょっと似た感じもあるんだけど…
気がついたら、目で追ってた。
クラスで話したことないのは研磨くんだけで、綺麗な目とか綺麗な指とか、憧れが募ってた』
「………」
『話したこともないのにいきなり指を触ってくるという、
わたしのとんでもない奇行を 研磨くんは冷静に受け止めてくれて、そのとき初めてお話ができたでしょ。
わたし相当舞い上がっててうるさかったと思うんだけど』
「…いや、うるさくはなかった。
明るいのに落ち着いてて、初めてなのに話すのがいやじゃなかった。 …驚いたけど」
うぅ… またも泣きそう
『で、嘘ついたの』
「え」
『クロさんと一緒にバレーの練習行くの知ってた。いつも、みてたから。
でもいきなり触ってきたやつが、部活も知ってたら気持ち悪がられるかなって、
知らないふりして部活を聞いた』
「…ふ 嘘ってそれだけ?」
『…かな』
「…セッターだってのは知ってた?」
『ううん、セッターは勘。研磨くん、司令塔というか。冷静な感じ。
…ん? 策士かな。 いや、参謀…』
「ふーん 参謀ね… …ふ 笑」