第14章 blooming
ー穂波sideー
『カズくん、キムチ食べれる?』
石神井公園で練習して
電車に乗らずにスケボーのって帰ることに。
信号待ちで止まってるときに聞いてみる
…昨日から、今日はあさりのチゲを食べる気満々だったから
「キムチ? …うん、ピリ辛くらいなら」
『好き?』
「…キムチ鍋とか豚キムチとか好き。
穂波のことも好き」
『 ! 』
デートしよ、とか ドキドキさせる、 とか
いろんなきゅんきゅんする言葉を今までも言ってたカズくんだけど
好きなんて初めて聞いた
ドキドキしてしまう
なにも言えずにいると
信号は青になり、
カズくんはニヤリと笑ってから
スケボーに乗って先に行ってしまった
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別にそれからはいつも通りで、
家に着いてからもカズくんはゲームをしながら
まだ終わってないサーフィンの大会の実況を流してる。
わたしは台所で、
やっぱりあさりが動くのをついつい観察してしまいながら
夕飯の支度をする
「…穂波、オーストラリアって前の彼氏いるんでしょ。スケボーの」
研磨くんの前に一人だけいた彼は
ニュージーランドの人で、プロスケーター。
いまはオーストラリアにいるはずだった
『…あぁ、そうだね。 考えてなかった』
「会うかな」
『…ん?』
「きっとみにくるでしょ、その人も大会を。 ばったり遭遇するかな」
『あぁ!そっか。そういうこともあるかもね』
「…ふーん」
『…どうして? 彼に何か聞きたいこととかあるの?』
「いや、別にないけど」
『…ふふ。 カズくんほどかっこいいスケーターはいないよ、わたしにとって』
「………」
『お兄ちゃんのことも知ってるし、観にくるかもね』
「…また好きって言われたらどうするの」
『ん?』
「おれにさっき好きって言われた時みたいにかわいい顔するの」
『…へっ? かわっ… へ?』
「ぶっ 笑」
『…からかったな!』
「ううん、ほんとだけど。 穂波っておれのことガキ扱いしないよね」
『…カズくんはかっこ良すぎるからね。 そんな扱いできません。
なので刺激はほどほどにお願いします…』