第14章 blooming
ー研磨sideー
午前の練習が終わって、
穂波を探しに外に出ると
カズマと並んでスケボーに座ってた。
穂波は足を投げ出してごろごろさせながら
喋ってるのか歌ってるのか、上機嫌な雰囲気だけは伝わってくる。
その隣でカズマは黙々とゲームしてる。
…おれもこんな風に見えてるのかなって
カズマをみるとたまに思う。
『あ、研磨くん。お疲れさまぁ』
「…ん」
『お弁当をお届けにあがりましたぁ』
「………」
…ご機嫌だな
カズ「研磨、練習見たい」
研磨「…あ、え? いまから休憩」
カズ「あ、そっか」
研磨「…2人はお昼食べたの? 弁当?」
カズ「これから食べる。研磨も一緒に食べる?」
研磨「あ、うん。…食べよ」
穂波の方を見ると
おれとカズマが話してるのが嬉しい って顔に書いてある。って思うような表情。
にこにこしながらこっちを見てる。
「どこでたべたい?」
『研磨くんのいいとこでいいよ。体育館に近い方がいいでしょ?』
「…あぁ、まぁ うん。そうだね」
中庭がいいかなって思ってたけど、
結局体育館の前の階段に座って食べる。
「あ、卵焼き」
『うん、桜海老入りだよ』
カズ「あ、これおれの好きなやつ」
『うん、うずらの卵のスコッチエッグ』
なんかクロが弟みたいっていうのがわかってしまっ…
…いや、いや、違うそんなことない
「…これも作り置き?」
『そんなことは気にせず食べてください。
…ひき肉のとこねっといて冷凍しておくの。
それを解凍したやつで卵をくるんで衣つけて揚げるの。笑
…言ってておかしくなってくる』
カズ「なんで?」
『研究家気取りな気分』
カズ「…?」
研磨「…そんなことない。…生活の知恵」
『…ん。 まーいいから食べよ』
桜海老の入った卵焼き、うずら卵のスコッチエッグ、
スナップエンドウ、切り干し大根の煮物、パプリカの出汁漬け
小さな容器に苺と柑橘の剥いたやつも入ってた。
…どれも、これも、いつもいつも美味しい。